1−0の試合が続いたチーム事情。1点先制してこの試合も勝つぞと勝ちパターンに持ち込む中
アクシデントは起きた。相手のタックルがナオヤの足にめがけて飛び込んできた。
うずくまるナオヤがピッチを去った。そのシーズン彼はグランドに戻ることは無かった。
それが去年の札幌戦に起きた出来事だった。その試練を糧に、悔しさをバネにここまでどんな
想いでやってきたか。内側靭帯を怪我したことを誰が憶えていたか。
そんな事を感じさせない動きをする為に、どれだけの恐怖心にうちかってきたことか。
そんなナオヤになんでこのタイミングでまったく同じ状況の試練をサッカーの神様は
与えるねん。「どうしてだよ。」そう言って、涙を流し何度も何度もグランドを叩く若者に
同じ試練を与える必要があるんか。去年は試合に出るのが精一杯だったルーキーが
やっと試合に出て結果を出してきた時に。今年は中心選手として出場停止以外
フル活動するなかで、昇格にはなくてはならない存在になっていた時に。
「どうしてだよ」涙を流しながらグランドを叩いていた彼が担架に乗った時、
なんて叫んだかわかってんのか。言葉に出来ず、ただ、 「あ」 という単語をずっとずっと
絶叫していたんやで。自分の体がサッカーをすることが出来ないとベンチに自ら告げた
男が。大丈夫やろう、すがるような思いでグランドに戻り、自分の体と冷静に向き合って
無理だと自分で判断を下した男が。言葉を紡ぐことも出来ず、誰が悪いとぶつける為ではなく、
誰に届ける為でもなく、ただ叫んでいたんやで。
ナオヤ。みんながお前の23番を着たり、サポーターが23共闘。とメッセージしたりするのは、
ほんまにお前と共に闘ってるからやで。ハーフタイムのロッカールームで、目を真っ赤に腫らし
松葉杖をしながら、円陣に加わるお前を見てるから。体を投げ出しチームの為に闘ってきて、
チームの為に怪我をしたお前やからやで。でもな、お前の状況を一番自分の事のように心を痛めている
のは、同じ年で同じポジションで、友達でありライバルであるキンやからな。
人に想いを伝えるのが不器用なあいつが神妙な顔で俺の所に来て「25番を来て貰って、嬉しかったし励
みになったから、23番みんなで着るの仕切ってよ」って言って来たんやで。足に痛みがあるのを我慢し
て天皇杯をやろうとしてたから、「自分の体と今の状況を考えろ。」と怒った俺に頼みごとしてきたんやで。
ナオヤとキンは俺からみたら、めちゃ似ている。黙々とチームの為に走り続ける。ゴール前に上がったと
思えば、いつのまにか自分のゴールに戻ってきて、体を張って守備をしてる。一度だって、はやく戻って
来いと怒ったことがないし思ったこともない。むしろ、頭が下がる思いやで。ただな、自分の想いを
もっと伝えれるようにならなあかん。だから、チームを外から見て、感じた事をみんなに、特に前の試合
で途中交代して自分の足と闘っているキンに伝えて。それが一緒に闘うってことやで。
ナオヤの言葉はみんなの心の奥に届くから。 共闘23