ユアスタ凱仙
ユアスタに降り立ったらサポーターのみんなが拍手で迎えてくれてほんまに嬉しかった。
浦項のチームメイトがみんな俺のことを知ってるんやなと聞いてきた。
そんななか俺がみんなにブーイングをしたからびっくりして、
やめろよ、雰囲気が悪くなるやろと言われたから、「ケンチャナヨ」と笑ったら不思議そうな顔をしていた。
ロッカールームに帰ってもその話題になり、監督まで心配したから、サポーターのみんなと約束していたんやと説明した。
Kリーグではありえへんけど、Jリーグではそんなもんなのかと納得してくれたけど、不思議そうやった。
アップのボール回しをしていた時、その瞬間は訪れた。
浦項のメンバー紹介で俺の名前が発表された瞬間に、ユアスタにブーイングが響き渡った。
それまでは俺もブーイングをし返そうと思っていたけど、ボール回しの最中やったし、選手として試合前のアップに集中しないとアカンと思ってやめた。
でも、心の中で選手として帰ってこれてほんまに良かったと実感した。
キャプテンマークを巻いて整列をして、日韓の親善試合やから、互いの国の国歌斉唱が行われた。
チームのキャプテンとして韓国の国歌を聞き、対戦相手の国歌として君が代を聞いた。
日本代表になりたいと韓国から日本に帰化した俺が、サッカーの選手として初めて君が代を聞くのが韓国のチームでとは俺らしいなと思った。
前半はほんまに苦しい試合展開やった。日本特有のジメジメした湿度に久しぶりに苦しんだ。
後半はうちのほうがボールを支配して有利に試合を進めてけど、お互いゴールを入れることが出来なかった。
俺も2回あったセットプレーでのチャンスを活かせずに悔しさが残るままPK戦に突入した。
浦項先行での一本目のキッカーのモタが外してしまい、負けてる状況でベガルタの関口が蹴ったPKをファヨンが止めて喜んだのも束の間、レフリーによってやり直しになった。ここぞとばかりに俺の出番が来たと(例のごとくキャプテンやのに、技術がないせいでPKを蹴らしてもらえなかった)走ってレフリーに駆け寄った。
イエローカードを頂戴してもうた。ただ、なんでやり直しなのか聞いたら、キーパーには伝えたからと言って教えてくれんかったけど、こっちも引き下がれんから、「言葉が分からんかったらアカンから通訳しますんで教えてください。」と言ったら教えてくれた。
早くに動いたのが原因やった。それを伝えたのが俺のPK戦での唯一の仕事やった(笑)。
PK負けという結果で試合の幕は閉じたけど、劇場の幕は下ろさなかった。
浦項とベガルタのみんなでグランドを1周していつもの定位置に差し掛かったときにみんなを止めた。
ベガルタの選手の相変わらずやなと浦項の選手のなにすんねんやろうという不思議な視線を背中に受けながら、キンと交換したベガルタのユニフォームを着ておもいっきり劇場を楽しんだ。
両チームの選手もスタッフもそしてサポーターも笑顔で楽しんでくれて嬉しかった。
試合後、大坂ともお君が企画、モシダーヂ主催でヤンキーコートを借り切ってのパーティーもたくさんの人達が遊びに来てくれて盛り上がった。
ベガルタの選手も遊びに来てくれたのでこの場を借りてお礼を言いたい。
サッカーを辞めずに続けてきてほんまに良かったなと思った凱仙やった。

